嵐を鎮めるべく海に入った日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の妃、弟橘媛の袖が流れ着いたという伝説が、その名の由来との袖ヶ浦市。海の青と、豊富な緑と、風が印象的な街でした。
ホテルの木の洗面台を甦生した写真を
見て下さった取引先様からのご依頼で、
玄関扉の甦生機会を賜りました。
早速お伺いしますと、
・全体的な退色がある。
特に太陽光の当たる下半分の退色が顕著
・扉下部のクリア塗装が剥がれてきている
・各部、塗装が劣化している。
といった現況です。
とはいえ、玄関のひさしに守られて
太陽光が直に当たりにくい上から2/3は
塗膜状態も良く、
既存の塗膜を剥がさずに、
補修と再塗装+コーティングにより
甦生させることとなりました。
補修としてはモール及び扉の最下部のみ
と見立てていましたが、
施工前に周囲を浄めてみてびっくり。
モール(装飾部材)より下の広い範囲で
水の吸い込みが起きています。
これは思いの外、最表面のクリア塗装膜が劣化しているようです。
劣化部の塗膜を除去。
剥がれかけの部分を除去しながら、
研磨で下地を整えます。
除去方法は、場所や状態により、
研磨/特殊剥離剤 により行います。
劣化塗膜を除去して再生した方がいいのか、
残し活かして吸い込みを止める手段を
講じた方が良いのか・・・
扉と相談しながら進めます。
まずは筆を駆使して木を復元していきます。
筆による下塗りが終わると、
次はスプレーガンを使用した塗装です。
色を霧に託し、うっすらうっすらと何層も
色を重ねます。色の割合は0.5%単位で調整。
真夏の酷暑・強風・雷雨と、刻々変わる状況に対応するべく、塗装ブースを作ります。
劣化部の吸い込み防止の目止、
劣化塗膜の除去及び欠損部の成形、
木目等の復元、
全面カラーリング、をした状態です。
(これから色保護のクリア塗装をします)
クリア塗装で塗装工程を終えた翌日、
総仕上げの完全無機ガラスコーティングを
施工します。
塗装面を極細かく研いで、
最後の肌調整をします。
酷暑・屋外・急な雨に対応できる準備をし、丁寧に丁寧に進めます。
お客様がおっしゃいますに、
「高度経済成長期のころから世の中が使い捨ての時代となり、
建材も良いものが使われなくなっていく中にあって、
大切な家族の住まいには少しでも良いものを使いたいと考えた。
そのうちの一つがこの玄関なので、
取り換えれば早いのかもしれないが、
修復できるのならば、そうしてもらいたかった。」
とのこと。喜んで頂けたようで、何よりでした。