築30年、人に貸して18年の戸建住宅。
この度退去により、オーナー様の娘さんが新たに生活の場とされることになりました。
4人家族の方が住んでおられたとの事です。
退去後の確認で18年ぶりに
足を踏み入れられたオーナー様ご夫妻は、
変わり果てた浴室の姿を目の当たりにし
愕然とされ、奥様は落涙されたとの事。
黒いのは、カビではありません。
(ハウスクリーニング業者さんカビ取り後)
樹脂表面が相当固いもので擦られ欠落し、
黒い地が出ているのです。
こちらの浴室は北側の1階で、空調も小さくカビが生えやすい環境と推測されます。
現に天井回し縁(壁と天井の境にある部材)は
少々の塩素では漂白できないほどのカビが食い込んでおり、結局新品に交換しました。
喫水線を境に、色違いが起きています。
底面は滑り止めか何かが貼られていたのか、変な模様が浮かんでいます。
天端の立ち上がり部は、コーキングのカビを取ろうとした影響で塩素が液だれし、退色しています。
浴室のカラーコートでは、
「剥がれない」という観点から
研磨の番手を選定します。
研磨で取れない大きなキズやへこみ穴は
パテ埋め補修します。
四隅・R部・排水口の周りなどは
特に丁寧に念入りに研磨します。
壁はガサガサで手を切りそうな肌ですので、
まず粗い番手で角を丸く均し、
徐々に細かい番手で研磨していき、
状態のよい部分の肌に近づけていきます。
バスタブ・エプロン・床面は一体型で、元々どぎついピンク色でしたが、
今回は窓枠の色に近いアイボリー色にすることになりました。
ピンクの赤味は色の力が強いので、
黄色味のアイボリーを塗る前に2~3層分ベースコートを擦り込み色の力を削ぎます。
ベースコートを複数回入れた甲斐あって、
施工前の素材に見られた脱色・色ムラが
すっかり隠れ、
アイボリーが均一に綺麗に乗っています。
( 壁・天井はミストホワイト仕上 )
日米で特許を持つ、完全無機で耐久性抜群の特殊ガラスコート剤を2層塗布します。
今回のバスタブは、底面に立つとどうも
素材が薄いように感じ、その後長い年月
生活に耐えられるか心もとない感じがしていましたが…
カラーコート4層とガラス2層にがっちり
守られ強度が増した実感が有ります。
洗い場の床も、
椅子にこすられる状況を想定し、
①「剥がれない為」という観点 と、
②「すりキズに負けない為」という観点
から、
1層目と2層目それぞれの塗り方には
意図的な差を持たせています。
一週間に亘る甦生が無事完了し、
オーナー様ご夫妻には、
「あんな酷かったのに!」と
大変喜んで頂くことが出来ました。
『甦生』という手段をご存じなく、取ったリフォームの見積は存外高く、
その後色々と調べられたとの事です。
家中の壁紙クロスの張り替え、
キッチン流し台・トイレ・洗面台の交換などトータルコストがかさむ中、
浴室はフルリフォームの半額以下に
抑えられたとのことで、
喜んで頂けて何よりです。